2015.05.22

川村亘平斎の影絵の世界

川村亘平斎といえば、自身の音楽グループ「滞空時間」で、ハイパーかっこいいライブを繰り広げていたり、そりゃもう色んなすごいアーティストとの共演、コラボレーション、はたまたイラストレーターとしても、各地で目覚ましい活躍を見せている、そんな彼ですが、どの現場でも彼らしいアプローチで、もはや何屋なのかわからない、十一面観音的活動をしている、もう一つの面。
影絵師としての彼と一緒に作品を作らせてもらった事を、少し自分の中で整理してみよっと。

以外と付き合いは古くって、まだ滞空時間も川村亘平斎にもなっていない時代。
彼の演奏を聞いて、静かにこの人好き!って微弱な田中センサーがキャッチした数少ない人でした。もちろん、その事は伝えてないし、あまりに静かに思っているものだから、伝わりようもなかったのです。が、そんな彼と色んな場所で再会したり、自分たちを取り囲む環境が、何らかの因果を生み出したのか、亘平くんから「影絵と音楽」というプロジェクトにゲストで参加して欲しいと頼まれたのでした。

そして、色々とすっ飛ばして、そんな縁での現在地。
バリの伝統的な影絵の世界の魅力。さらには現在進行形なインドネシアの芸能から風土、文化まで、亘平くんから見聞き、感じられる事が不思議と、実は内包されていた田中のインドネシア的感覚を心地よく刺激しました。インドネシア的感覚と言葉にすると他所様の物を借りてきた様な気がするけど、そりゃもともと大陸は繋がっていたし、都合よくそんな風に言っているだけで、いい加減に言葉に押し込めた、言葉にできない感情の言葉に他ならないのです。
しかしながら、その感情ってのは僕にとっては一つの真実で、それはかいつまむと何だかなー。
なんて考えてみると、

以前テレビで見た記憶で、どこかアジアだったか、湖に昔から住む少数民族に、国がもっと住みやすい環境、十分な手当てを与えるから住む場所を変えてくれと言ったらしい。
その集落の大半はその通り、不便なその場所から離れ、用意された場所へ移り住んだらしいが
それでも、残っている家の人にインタビューをして「なぜ、この場所にこだわって、住み続けるのか?」みたいなことを聞いていた。
その答えが「だって向こうのあいつは残っているのに、俺が居なくなったら寂しいだろ」みたいな事だった。
なんだか、それを聞いた時に、不思議と合点がいって、それは急に別の角度で、「だってそうなんだもん」的な圧倒的な人間を見せられると
なるほど、そういう事もあるなー。なんて、のんきな感情で、全てを丸く収めてしまうような感覚が沸き起こるもので、自分でも不思議だけど、それって一つの真実だなー。と、思った感覚とすごく似ている気がすると思ったのです。

って、すごく遠回りなんだけど、インドネシアの芸能の懐なのか、それを日本人の亘平くんが体現している亘平くんの世界なのか、なにが本当かは分からないのだけど
この影絵が幕を開けた瞬間に、駄目なことが一つも無い、全て許されながら進んで行く夢の様な世界になる魔法の時間が広がるんです。そして、そんな夢を見つつ、でも、漂ってくる生々しさというか、どうしようもない人間臭さ。
繰り返すようだけど、どこにも駄目がない世界。そんな人肌な夢の感覚を(勝手に)亘平くんに感じて(勝手に)共鳴している自分に気づいているのです。

彼は、インドネシアの伝統芸能を通じて、日本で生まれて、日本を拠点に活動するが故の確かな(そして漠然とした)彼の夢を描いているように思っています。(勝手に)

描くことができる人。そんな側面がイラストレーターとしての才覚であったり、はたまた人の欲する部分を埋めるエンターテイナー的な側面が芝居を作り上げていたり、挙げればきりがないですが、すなわち十一面観音的川村亘平斎に他ならず、この人の様な人がもっと増えて、もっと活躍する土壌ができた時、それはインドネシア的感覚じゃなく、今の日本のエネルギーそのものになるんだろうなぁ。そして、願わくば自分もそういう場所で大いに丸く収まって居たいのです。
と、「川村亘平斎、影絵と音楽」に携わりながら思う現在地であります。

褒めちぎりの様ですが、ちぎる価値のある男。そしてそう簡単にちぎられない男。川村亘平斎をこれからも楽しみにしましょうね。

以外と褒められると調子の乗って力を発揮するタイプだと思いますので。

長くなり、途中からお酒の力も借りながらの文章。
なぜか、言葉にしにくいことを言葉にしたい欲求が高まっている自分勝手な
発信をお許しくださいませ。

そして、こんな田中と亘平くんの現在地を体験できるライブが
高知と岡山と山梨。

5/30【高知】@弁天座
出演:ショピン・川村亘平斎

5/31【岡山】@旧内山下小学校体育館
出演:マレウレウ・cinema dub monks・川村亘平斎と田中馨

6/13【山梨】@甲府桜座
川村亘平斎と田中馨 影絵と音楽 DVD完成記念ライブです。

とくに甲府桜座は、純粋な僕たちだけの1日です。
ぜひ、多くの方に見て聞いて体験して、思うことを共有できたら嬉しいです。
そんな1日になると思いますよ。

詳しくは亘平くんHPなどをたよりに、その場所でお会い出来るのを楽しみにしています。
川村亘平斎HP: http://taikuhjikang.com/kawamurakoheisai/

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田中馨